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ヘッドフォン - PHILIPS FX3
発売当初の店頭価格 6,500円。コストパフォーマンス抜群の密閉型ヘッドフォン。2015年5月発売。
シェーバーでお馴染みの世界的な総合家電メーカーにして多国籍企業・フィリップス。AV 事業でもコンパクトディスクやレーザーディスクなどのパテントホルダーとして君臨、日本においてもかつてはマランツを買収しピュアオーディオにも取り組んでたけど、現マランツとは資本関係は解消されている。
コイツは 2015 年にリリースされたエントリークラス三製品のひとつ。ドライバ径 40mm のオーバーイヤー型で再生周波数帯域は 8~23kHz となかなか広い。インピーダンスは 32Ω。回転式のスイベルを採用しているため収納時はフラットになり持ち運びは楽だし、ヘッドバンドの調整の範囲も広く帽子被ってても位置合わせに窮屈な思いをすることはないだろう。ただいかんせん作りがチープなのでストリートヘッドフォンとして使うのはちょっとヤボかもしれない。
所有する喜びといった嗜好品としての魅力は皆無だが、実際に試聴すると字面のスペックや価格帯からはちょっと想像つかないくらい全域でバランスの取れた音で、派手なチューニングが施されていないぶん聴き疲れもしにくいだろう。装着感も 154グラムの軽量ボディと相まって苦しさがなく、長時間のリスニングでも快適な隠れ名機。
国内発売元はオンキヨー&パイオニアイノベーションズ。
日本じゃフィリップスのヘッドフォンはあんま目にしないけど、A5-PROi のように海外のクラブシーンでは愛用者がけっこういる。
2016-12-03
お出かけ用の Skullcandy Aviator & Klipsh Reference One の二本柱に部屋聴き用 SHURE SRH440 を加えた 3本が現在の戦力。SRH-440 はとにかくフラットでモニタリングには最高なんだけどクソ重いのよね。ダラダラ長時間聴くのはもっと装着感が楽で、かつ聴き疲れしない鳴り方のがほしい。
そんなわけで、借り物のカメラをメンテ&クリーニングのため新宿ニコンに出すついでにヨドバシであれこれ視聴。当初は以前好印象だった Panasonic RP-HTX7にしようかと思ってたんだけど、久々に聴いたら「あれ?こんな籠った感じだったっけ?」。アテが外れ落胆するわしに救いを差しのべてくれたのがコイツだった。順番に聴いて回ってたので 1万円クラスの製品かと思いきや、4,160円の値札見てみて即決。しかもレジに並んだら 2,660円で「ほんとにこれこの値段なの?」と店員さんと一緒に実機再確認してしまった。
ヘッドフォンは店頭価格 1万5千円を超えるとかなり水準が安定するのだが、1万円前後の価格帯は地雷原のようなもので、大手メーカーや舶来ブランドの製品も含め値段に見合ってるとはいえないものがやたら多い(個人的にはヒエラルキーがきちんとしてるのはオーディオテクニカくらい)。かといって五千円以下になると最低基準(プレイヤー本体のオマケから買い替えるだけの音質向上が見込める)をクリアしていない製品ばっかりなのでそもそも試聴しようとあまり思わなかったから、すっかり盲点だったわ。
側面の金属メッシュっぽい部分は金属メッシュっぽく見えるだけ。実物はいかにもなプラスチックで安っぽいし可動部分の作りもヤワだけど、何しろ軽いので ATH-WS55 のように根元からポッキリいくような感じではない。楕円形のイヤーパッドで耳へのフィット感は上々。ヘッドバンドにウレタン等の緩衝材は用いられてないが、締め付けもほどほどで頭が痛くなったりしないわりに軽いからズレないのもいい。
で、音はたいへん優秀。高級品のような個々の解像感こそないけど、抜けのいい高音・ボーカルの聴きやすさ・無理のない低音と全域に渡って引っ掛かるところがない。上手にバランスの取れた広がりのある音でメリハリも利いてる。実売三千円前後でここまでしっかり鳴ってるヘッドフォンは初めてだよ(「値段なり」ってレビューは無視していいよ、コストパフォーマンスの意味わかってないから。
ただそれは一定以上のボリュームを出してるときで、能率~出力音圧レベル~が字面のスペック以上に低いみたいで絞るとだいぶボヤけてしまう。そのギャップが高級品に比べて大きいのが弱点かな(お出かけの際はポタアン挟んだほうがよさげ)。ただ AKG なりの高級品は高級品で大柄なものが多いから、長時間聴くの意外と大変なんだよね、ズレたり頭痛くなったり。その点は本製品の手軽さが勝ってる。
鳴り方は SONY MDR-D66 に近い。D66 は希望価格 11,000円で実売 7千円くらいだったから、やっぱり FX3 のコスパが異常に高い。
現時点でも掘り出し物でプレイヤーのオマケと聴き比べたら感動モノなんだけどさ、とにかく安っぽい作りですごい損してると思うんだよね。だからオーディオ部はまったく同じ仕様のまま各パーツの質感を向上させたらかなり目を引く製品になるんじゃなかろうか?さらにリモコン対応&ケーブル脱着式にすりゃ 2万円くらいの値付けでも十分通用すると思うぞ。
そんなわけで、結局 Amazon でもう一本頼んだ( 2,340円!)。お外に持ち出すのは恥ずかしいけど、のめり込んで本格的に聴くのではなく映画とかアニメ全話一気視聴とか、そういうのに最適と思われる。
なお、お外で聴くならライトニングコネクタを装備したハイレゾ対応品、 Fidelio M2L もある。
見た目の質感も高いけど、お値段も定価 4万円オーバーとお高く実売でも 2万円前後なので FX3 が 10本くらい買えるぞ!
脚注
- イヤーカップ形状の違い
- 個々の製品の設計や完成度にもよるが、おおまかな傾向としては耳たぶに載せるオンイヤーのほうがコンパクトで済む。ただし遮音性は耳をすっぽり覆うオーバーイヤーに軍配が。圧迫感・フィット感もオーバーイヤーのほうがよい。
- なお経験上、体感的な暑さはオーバーイヤーが上だけど、オンイヤーのほうが汗によるイヤーパッドの痛みが早い。おそらく密着部分が多いせいと思われる。んまあどちらも夏は地獄だしメンテナンス大事よ。