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ハードディスク - SEAGATE ST8000AS0002
メーカー希望価格55,000円(税抜)。SMR 技術により 8TB の大容量と高いコストパフォーマンスを実現した Archive シリーズの内蔵HDD。2014年8月出荷開始。
ここ数年沈静化していた容量の伸びに再び火を着ける、トラックを少しずつ重ねることで記録密度を高める注目の技術 SMR (瓦型磁気記録)。これをいち早く投入し世界初となる 8TB の大容量を達成、それでいて実売価格(発売当時)は4万円を下回り従来品のおよそ半額ときたもんだからさあ大変。すぐにでも飛びつきたいのはヤマヤマだが同時に「でも Seagate だし」「初モノはちょっとね」「6枚プラッタwww」と過去のトラウマで拒否反応を起こしたり新技術への不安が上回って購入に踏み切れない人は多かった。やがて人柱という名の勇者たちから次々とレポートが寄せられ
- 「“Archive HDD”の名の通り録画したデータソースもしくは完パケのような調整済みのデータなど、新たに読み書きすることのないファイルの保管に適している」
- 「OS やテンポラリのようにリード/ライトやランダムアクセスの多発する用途には向かない」
- 「HDD 丸ごと全部といった大容量転送は転送速度が著しく不安定になる」
- 「冗長構成を組む場合、推奨は RAID 1 もしくは RAID 10 で RAID 5 や RAID 6 は実用に耐えない」
- 「下手に RAID 組んだり記憶域プールへ組み込むくらいなら単一ドライブで使うほうが長持ちしそう」
- 「謳い文句の“エンタープライズ品並の品質管理”は裏を返せばそれくらい神経質なシロモノ」
- 「いうなれば容量 8TB のライトオンリーメディア、HDD-R」
- 「クセは強いものの静かで振動も少ない。がたまにヘッドがいかにも Seagate ぽくカチカチ騒ぎ立てる」
- 「耐久性は未知」
- 「耐久性はノーコメント」
- 「耐久性は壊れてから判断」
- 「2年持てばいいや」
- 「20台導入して故障2台(いつもの Seagate」
などなど、発売前から推測されていSMRの特性が露になっていった。
参考:最安の 8TB HDD「ST8000AS0002」をテスト、SMR 技術を再確認|AKIBA PC Hotline!
従来のHDDがたとえ1バイトのデータでもクラスタサイズを最小単位として書き込みが行うのと同様に、SMRではファイルサイズに関係なくブロックという連続するトラックの重ね合わせを最小単位としている。このブロックのサイズが128MBや256MBとクラスタとは比較にならないほど大きいため、書き込むファイルが小さければ小さいほど無駄なオーバーヘッド…たとえばわずか1文字の変更でもブロックまるまる書き換え…が発生するようだ。
実際にはそこまで極端ではなく書き込みを効率よく行うためデータはいったんキャッシュ領域に蓄えられ、ある程度まとまった量になってからブロック単位で重ね書きされるらしい。ただしキャッシュが追い付かなくなると著しくパフォーマンスが落ちてしまう。理想的な使い道は書き込んだらその後手を加えることのない、DVD や Blu-Ray のトラックイメージや録画データ、デジ一眼のRAWデータ※などの貯蔵・保管で、間違ってもシステム(OS)や定期的な差分バックアップなどに使うべきではない。追記のみ可能な光学メディアの感覚で扱うとよいのではないか。
容量が容量だけに使いどころをきちんと考えないと大変なことになるが、適切に扱えばスケーラビリティに優れたストレージ運用を実現できる製品でもある。ある程度評価が出揃い3万円割れしてる今なら買う買わないの判断もしやすいだろう。
2016-03-21 購入
考えようによっちゃバカ発見機でもあるなコレ。わしの場合、転送レートに優れる内部接続のHDD(4TBx2)を滅多に使うことのないトラックイメージがかなり圧迫しててアホみたいなので、そいつらをどこかに逃がしたいのじゃ。
そんなわけで、ヨドバシで調達、28,000円ナリ。ミッションコンプ。移動が済んでから「あーこれは消してもよかったわ」ってなるのは避けたいので、まず要る要らないの仕訳けが先だな。
2016-04-07 導入
4ベイの外付けHDDケース、ガチャベイを調達、さっそくコイツをぶち込んでみる。まずはフォーマット。8TB&SMRなんて未知の領域だしー、保管対象がトラックイメージだしー、せっかく選べるのに使わないのはもったいないしー、と面白半分でアロケーションユニット 64KB にしてみた(過去何度かテストした限りクラスタのサイズがスループットに与える影響は測定誤差レベルの範囲でしかなかったんだけどね)。ReFSも考えたんだけど、そこまで初モノづくしにしちゃうとあとで何かあったとき問題の切り分けに苦労する自分の姿を想像するに難くないので、退避の済んだHDDで試すことにしよう。フォーマット後のエクスプローラの表示容量は 7.27TB 。
SMRの特性なのか、ドライブ丸ごと移動するような大量転送でスループットが極端に低下するという報告をいくつか目にしているので、試しに100GB程度をコピーしてみる。
160MB/sからしばらくして120MB/sに落ちたりまた戻ったりを不定期に繰り返していた。平均すると140MB/s前後か。極端というほどの低下ではないな。
続いて200GB。おお、今度は高値安定ジャマイカ!と思ったとたん90MB/sまで落ち込んだ。気が付くと復活、以降安定。平野を流れる川の断面図のようだ。
調子に乗って360GB。最初の150GBくらいは調子よかったのだが、そこからガタガタ。
引き続き400GB。出だしから乱高下。んー、小刻みな変動じゃなくファイル単位みたいな動きからして、ひょっとするとコピー元 HDD のReadに原因があるのかな?ファイルを作成した時期と移動の順番は違うから、あるファイルは外周部にシーケンシャルに書き込まれてるけどあるファイルはあちこち断片化してるとか。
…こんな調子で数百MB ずつ刻み、合計 2.2TB 転送。なんのかんのいいつつ谷間でも90MB/s、平均120MB/s以上は出てた。ひとまず 500MB くらいまでは一気に転送しても大丈夫っぽいね。
XP~7時代はFire File Copyという速くて負荷も軽くて断片化を解消しつつガリガリ言わないたいそう便利なツールがあった。何がよいって複数のコピーor移動をキューイングしてシリアルに実行できることだよ。同時コピーとか移動ってトータルのパフォーマンスは下がるしHDDにも負担掛かるのでなるべく避けたいところ。Windows 10 はファイル転送のパフォーマンスはかなり向上してるしエクスプローラのコピー&移動も当初に比べたらずいぶん使いやすくなったけど、未だに複数は並列処理しかできないのよね(一時停止できるようになっただけでもマシだがね)。だから公式にはサポートしてなくても、MAX_PATHに阻まれようとも、速度面の優位性を失った今でもFFCは手放せない。
まだ 5TB 以上空きがあるけど、なんでもかんでも放り込めるわけじゃないのでもう少し考えてみる。
ついでに ReFS についてもいろいろ調べておくか。Windows 10 も 8.1 と同じ方法…
- レジストリエディタを起動
- キー HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\MiniNT を開く
※ない場合は新規作成 - MiniNTキー内にDWORD値で「AllowRefsFormatOverNonmirrorVolume」を作成
- DWORD値「AllowRefsFormatOverNonmirrorVolume」の値のデータを「1」に変更
- レジストリエディタを終了し、コンピューターを再起動
でイケるっぽい。
うむ、再起動すると選択できるファイルシステムに ReFS が加わっとる。クラスタ(アロケーションユニットサイズは 64KB 固定のようじゃ。
2016-04-12 ファイルコピー支援
Fire File Copyの話が出たついで。ファイルコピー支援ツールは高速化ばっかり目が行きがちでソフト名も FastCopy , ExtremeCopy , TeraCopy ,マッハCopy と有名どころはいかにも速そうな名前が並ぶ。フリーソフト100なんてカテゴリー名にまでしちゃってるけど、大事なのはハードディスクに余計な負担をかけないことじゃないかなあ。レビュー記事もそのへんに踏み込んだのはあんまりないんだよね。
今挙げたツールは全部使ったことある。みんな確実にエクスプローラより早いしベリファイもしてくれるし、 FastCopy 以外はシェル(エクスプローラ)に統合してデフォルトコピーハンドラとして動作するからとっても便利。特にマッハCopy はコピーコマンドのUIと一体化してシームレスに機能するので初心者にはありがたいだろうね。インターフェイスは ExtremeCopy がいちばんスッキリしてるけど、個人的には TeraCopy のほうが好み(軽いし)。ただどっちもフリー版は機能制限が。FastCopy は通常のコピー/移動の置き換えは微妙だけどドライブ丸ごととか一度に大量転送する場合は使いやすいし差分バックアップツールとしても有用。FFC は古いわりにやたら高機能で、コピー条件をめちゃくちゃきめ細かく設定できるし NTFS の代替データストリーム(いわゆるリソースフォーク)なんてマニアックなものまでサポートしてる。ぶっちゃけ更新止まってることより MAX_PATH の制約を受けるほうが個人的に厳しい点。
で、さっきMKVToolNixのアップデート通知がきたので。ついでに過去バージョンを拾いに行った先のOldFossで偶然目に入ったのが Copy Handler。名前からしてまずわし好みだが、何が驚いたって見てくれこのオプション画面。
並べただけwwwwやっつけにもほどがあるwww
日本語のランゲージファイルもあるにはあるんだけど抜けが多い…ん?なんだこの同梱プログラムは。
自分でwwwwwwwww埋めろとwwwwwwwwwwwwwwww
他のツールもみんなこうすればいんだよ。
使い勝手はまずまずで、その名のとおり通りデフォルトハンドラーに置き換えできるし右ドラッグメニューから標準のコピーコマンドも選択できる。負荷は若干高いかも。
※メモリ消費はたいしたことないが、I/Oを占有的に使うのかときどきエクスプローラがフリーズする。もっともこの手のファイル操作系ツールはたいていそういう傾向にあるので、Copy Handler だけが特に重いってわけでもない。
それとコピー/移動先に記憶域スペースを指定するとプログラムがクラッシュする( ReFS でフォーマットしてあるのでそっちが原因かも)。
それ自体はまあ我慢できるのだけれども、再度起動すると環境設定が白紙に戻ってるのがつらい。
結局、普段使いは TeraCopy (シーケンシャル処理はできない)と FFC を必要に応じて使い分けている( 50GB の転送に 7分55秒、ベリファイに 5分46秒)。
2017-01-13
購入から 8か月目、使用容量が 8割に達したので改めて R/W を計測してみると 30% ほどダウンしていた。やはり外周部はそんなものか。
ま、エンコ済み DVD/BD のトラックイメージやセレクト&レタッチを終えてる撮影データのような滅多に使わないものだけに格納を絞った、アーカイブ本来の使い方をしてるので特に気にはならんな。
トラブルは皆無で代替セクタも発生していないし、もう一台調達しますか。
参考記事
- APPREVIEW|8TBのハードディスク2台が吹っ飛んだ ~その傾向と対策~ 前編 後編
※ ST8000AS0002 固有の問題かどうかはなんともいえないけど、キャッシュの扱いが他の HDD とは異なるのでファイル転送系のユーティリティを使う場合は本格運用の前に入念に検証することをおすすめする( FFC はセーフだった。
脚注
- SMR 記録の HDD に RAW データを保存する際の注意点
- 現像ソフトには非破壊編集を行う際、対象ファイルのカレントディレクトリに調整ファイルやオリジナルのバックアップを保存するものがけっこう多い。RAW ファイルそのものに手を加えなくても調整ファイルは編集のたびに上書きされることになるため、動画のデータソースよりも扱いは厄介である。中には非破壊編集で生じるファイルの保存場所を任意に指定できる現像ソフトもあるにはある。
- ReFS(Resilient File System)
- スケーラビリティとアベイラビリティに主眼を置いて設計されたファイルシステム。Windows Server 2012 で導入された。アベイラビリティに関してはチェックサムによるメタデータの整合性確保など障害を起こしにくくする仕組みのほか、障害が発生してもその範囲を局所化する工夫が施されている(たとえばエラーのチェックや修復は chkdsk ではなくバックグラウンドで随時行われるためファイルシステムをオフラインにする必要がないが、ぶっちゃけシステムパーテーションにこそ欲しい機能だべ)。
- スケーラビリティの面では理論上の最大ファイルサイズが 16Ebytes(エクサバイト、264-1)、最大ボリュームサイズは 264bytesxクラスタサイズ、ボリューム内のディレクトリ数の及びディレクトリ内のファイル数上限は 264 個、ファイル名/パスの長さは Unicode 換算で 216 文字…などあらゆる点で NTFS を大きく凌駕している。もっとも実装上は現実的な範囲に抑えられているが。
- このように ReFS は新設計といってもストレージの保全に最適化されたファイルシステムであり、すべての局面で NTFS を置き換えるようなものではない。データやストレージの大容量化によって生じた NTFS では対応しきれないニーズをカバーする役目、というのが本質だろう(その意味では exFAT も同じ立ち位置といえる)。
- 参考:Windows の次世代ファイル システム: ReFS | Building Windows 8