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レンズ - Tokina AT-X 12-28 PRO DX
定価9万円、実売5万円台後半。ズーム比の高いAPS-C向け広角レンズ。

一眼レフ形式のAPS-C機は、センサーサイズは小さくてもフランジバックはフルサイズそのままなので広角レンズの設計がめんどくさい。さらにリーズナブルなフルサイズ機が相次いで登場していることもあり、レンズ開発もそちらにシフトしているのか見事に置いてけぼりである。標準ズームも含め広角系は純正よりもサードパーティのほうが魅力的な製品が揃っているように思える。
本レンズは広角ズームとして好評を得た124 PROの後継製品(トキナーのレンズは独特の名称でややこしいけれども、珍しく焦点距離そのままの一般的な命名である)。焦点距離は12mmから28mm、このテレ端28mmというのがなかなか絶妙で、メーカーキャッチも常用広角スナップズーム
としているように42mm相当(対角55度)まであると広角主体のスナップ撮りなどではかなり表現の幅を広げることができそう。開放F4固定というのも使い勝手がよい。手ブレ補正や超音波モーターといった飛び道具の導入に立ち遅れているが、この焦点域なら極端に神経質になる必要はないだろう。ちなみにトキナーレンズは全般的にニコンボディとの見た目のマッチングがよいのもポイントが高い。ワイ端あとちょい広げて10mmスタートだったらさらによかったかもしれないけど、そうするとテレ側28mmに無理が生じる気もする。
SDガラス2枚のほか、非球面レンズも2枚採用しているが、うち1枚はトキナー自慢のP-MOレンズ。プラスチックモールドと聞くと屈折率が低そうで安っぽいネガティブなイメージを抱いてしまいがちだけれども、今のところプラスチック採用に起因するトラブルのような噂は皆無なので、部分採用に関しては気にするようなことではないのかも。マニュアルピント合わせはお得意のワンタッチフォーカスクラッチ、独特の操作なので慣れは必要かも。フィルター径は77mmとデカいけどレトロフォーカスだとしょうがない。
なおタムロンやシグマも含め、レンズメーカーは純正に劣らぬ性能を宣伝すべくこうした作例紹介にかなり力を入れていて好印象。
参考:高橋良輔の視点
それにしてもこの焦点域でズーム比2.3倍まで欲張るといろいろ無理が起きそうなものだが、かなり良好に歪曲収差が補正されているように感じる(ティルトをつけることによるパースペクティブの強調は収差に含めるものではない)。作例10など非常に目立ちそうな構図だがほとんど気にならないレベルに収まっている。これがJPEG撮って出しだとしたら申し分ないが、プロの作例でもあるしそのまま鵜呑みにするわけにもいかないか。
メディアの作例を見ても収差の補正は良好のようだ。それにしても画角という言葉を多用してるわりに、実画角を載せないのはなんでなのかねえ・・・。まあ42mm相当の“画角”、って書いてるだけwatchはマシなんだけど、マイナビは初心者向きなんだから、フルサイズ相当42mmなんてよりも対角55度ってちゃん書くほうがいいんじゃないかと。そうやって写真の仕組みを理解する下地を作っていく作業を、メディア全体で取り組んで欲しい。
2013-06-26
70-200mmを修理に出さないといけないこともあって、秋の中山開催が始まるまでは競馬撮影はお休みするつもり。競馬場での主力焦点域は70mmオーバーであるが、もともと大好きだった風景写真やスナップでは逆に70mm以下しかほとんど使わない。タムロンの17-50mmでだいたいこと足りるんだけど、ボケ味は良好な反面、周辺の歪みがけっこう酷くて風景写真にはちょっと向かないと思ってる。
そんなわけで、広角ズーム+中望遠単焦点という組み合わせを模索しているうちにたどり着いたのがこの一本。もともとトキナーの広角ズームは116に興味があったんだけど、11-16mmと超広角域しかカバーしないのでつけっぱなしにするのは勇気のいる漢レンズなのよね。逆光にとことん弱いらしいし。
12mmから28mmならスナップに必要な画角をほぼカバーできるし、これにあとマイクロ60mm F2.8でもあれば、標準ズームの出番がなくなっちゃいそうな気がしなくもない。たぶん気がするだけ。撮影旅行に持ってくなら12-28mm、60mm、80-400mmの組み合わせが最強かもしれない(ニコワンはどうした。
2015-02-25
D810を買ってしまったがゆえにコイツを手にする可能性がぐっと減ってしまった(そら候補だって14-24mmになるわな)。
2016-01-24
D500が出てしまったがゆえにコイツを手にする可能性が再びぐっと高まった。14-24mmが高嶺の花だけにもし入手したらお出かけカメラとしての出番は増えるかもしれない。
2016-12-04
上記記事を書いた直後に一身上の都合で機材一式ドナドナ、またゼロから揃え直すことに(何度目。ボディは D500 で確定なのだが、標準系レンズは あえて 16-80mm ではなくこっちにしようかと。
脚注
- モールドレンズ
- 金型に硝材を流し込んで成型する方式。射出成形ともいう。プラスチックモールドの写真用レンズへの採用はごく限られている。理由はガラス硝材に比べて屈折率と透過率で劣るため。また気温や湿度といった製造時の環境変化に品質が左右されやすい。ただ安価で軽量なことから、1枚レンズで済むメガネではプラスチックモールドが一般的。硝材にガラスを用いたガラスモールドは非球面レンズの量産化に大きく貢献。また複合型非球面レンズにおいて非球面部分にプラスチックモールドを採用しているものもそれなりに存在する。
- トキナーのP-MOレンズは複合型非球面レンズのガラス部分とプラスチック部分を分離配置したもので、本来は1つのレンズとみなすべきものであり純粋な一枚レンズとは言い切れない部分がある(記事中で部分採用としたのはそのため)。
- ガラスモールドはもっとも手間のかかる研磨工程を大幅に節約できるため生産性に優れるが、精研削(いわゆる削り出し)に比べて大口径になるほど品質にバラツキが生じやすい。大口径超望遠レンズがおしなべて高価になるのは大量生産技術が使えないためである。ただ、ニコンは現在写真用レンズに精研削非球面レンズは採用していない(すべてガラスモールドで賄えるだけの技術水準を達成している、ということなのだろう)。
- エンジニアリングプラスチック
- プラスチックの中でも強度や耐熱性に優れたものはエンジニアリングプラスチック(以下エンプラ)やスーパーエンプラとされ、カメラの構成部材としてごく一般的に用いられている。コンデジにはPCなどのエンプラ、一眼レフではスーパーエンプラでも結晶性樹脂のPPSが多い。金属部材との比較は一長一短だが、強度に対する不安は心理的な問題が大きく、明確に劣るのは高級感だけだろう。ただマウント部分への採用はさすがに剛性と磨耗性の点で不安が残るが、要は適材適所でカメラ側のマウントや重量級レンズでなければ神経質にならなくても大丈夫だろう。