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ポータブル赤道儀 - SIGHTRON NEW nano.tracker

希望小売価格 32,184 円(税込。コンパクトさが人気の定番ポタ赤二代目。2015年5月2日発売。

SIGHTRON NEW nano.tracker

入門者向けのポタ赤としてヒットした初代ナノトラッカーに外部電源ポートが追加され長時間運用の安心感が向上した(今どきminiUSBってのはちょっと解せないが)。それ以外は初代と同じで、入門機ながら天体別追尾モードや星景撮影向けの0.5倍速追尾、と最低限の機能はきっちり抑えてある。耐荷重も2kgなのでフルフレーム機+標準ズームや広角単焦点程度ならどうにかなるだろう。ただ雲台併用するとギリギリか若干オーバー。星雲などを望遠系でどっしり撮影したいなら素直にスカイメモなりにすべき。

そんなわけで使用できる機材には制約があるが、何しろコントローラ含め500gに満たない手軽さにお求めやすい価格設定も手伝って欲しいものリストの最上位にいる。

サイトロン

赤道儀による撮影について

太陽と月を別にすれば、天体はとても暗いのでフィルム時代は光害の少ない好条件でも30分や1時間といった長時間露出が当たり前だった。ところが天体は(北半球では)北極星を中心点とする日周運動をしているため、露光時間が長いと固定撮影では扇状の光跡として記録されてしまう。点を点として捉えるには日周運動に合わせてカメラを追尾させる必要が生じるのだが、一般的な自由雲台や3ウェイ雲台だと極めて難易度が高い。そこで考案されたのが赤道儀で、極軸(端的にいえば北極星の向き)を中心とした円を描くような、日周運動の追尾に特化した構造となっている。赤道儀を介した撮影はガイド撮影とも呼ばれる。

赤道儀そのものは極軸と直交した赤緯軸を用いる望遠鏡架台の呼び名だが、現在ではモータードライブによる自動駆動装置も含めて扱われることが多く(Wikipediaでもそのへんの説明が欠けてるが、昔はガイドに合わせて手動で経度を調整していたのだ)、本稿でも区別なく扱う。

なお赤道儀に対し、3ウェイの雲台のようなパン(経度)&チルト(緯度)による調整方式の架台を望遠鏡界隈では経緯台と呼ぶ。経緯台は目標を視野に入れるのは容易だが日周運動の追尾は2軸同時調整となるため手動・自動問わず制御が困難。

赤道儀はこの逆で、まず極軸を北極星に合わせる工程を経ないと何も始まらない。極軸を傾ける角度は観測点の北緯に等しいが、北極星は天の北極から1度弱ズレているので観測時間によってどの方向にズレているかを考慮する必要がある。そのためこの極軸合わせの精度が低いと時間が経つにつれ目標がズレていってしまう。また赤緯軸と赤経軸で目標の星を視野に入れるのも慣れないとなかなかピンとこないだろう。

セッティングさえ決まれば赤道儀は極軸を回転させることでだけで軌跡をそのまま扇状にトレースできる。対して経緯台はジグザグに追うことになる。

赤道儀をもってしても長時間露出において点光源を点として捉え続けるためには高い精度が要求されるが、近年はデジカメの高感度性能向上によってフィルム時代に比べて露光時間の短縮が著しく、数分の露光でも十分天体を捉えられるようになった。特に標準~広角系による星景写真は写る範囲が広く相対的に望遠系ほど精度にシビアにならなくても済むため、可搬性を重視した思い切った作りの製品が続々と登場、ポータブル赤道儀として広く支持されるようになった。

2015-08-26

天文に明るい中学時代からの友人から苦労話をいろいろ聞かされていたので、天体写真に興味はあったけど手を付ける気にはなれなかった。当時赤道儀とモータードライブはかなり高価だったし、長時間撮影時の相反則不軌とか水素増感とか、考えるだけでもめんどくさそうだったし。

…その結果興味のベクトルが座学的な方向に進みやたら天文学や地球科学に詳しくなってしまい、あげくシュレーディンガーの猫やらエントロピーとか量子論の本まで読んでたおかげで高校んとき授業まるで無視して別科目の内職してても物理と地学はずっと満点だった。でも複素数で躓いてから数学アレルギーになり文転した。

でも2年前その友人に島流しを命じられたとき、ISO3200まで上げれば1/2秒程度でもけっこう写る(船旅ゆえそれよりスローには落とせんのだw)のを知って、D300ですらこんだけ撮れるなら、フルフレームでしっかり三脚使って条件選べばイケるんじゃね?と。調べたらポタ赤なんてものがすっかり定着してるみたいだし、2万円以下でも買えるみたいだし。

そんなわけで、入門者に最適の季節(そりゃ冬のほうが大気は透明だし夜が長いけど凍え死ぬじゃん、10月から11月にかけてくらいがいちばんいいいと思う)を前にしてこいつが欲しくなったのである。ただ2万円以下で買えるのは初代で、二代目は2万5千円くらいするようだ。

ナノトラで具合がよいようなら、いずれスカイメモにも手を出そうかと企んでいる。

脚注

赤緯と赤経
天球における緯度と経度。赤緯は天の北極と南極(地軸と天球とが交わる点)をそれぞれ90度として決まる。赤経は春分の日に太陽の赤緯が0になった瞬間の位置を0度としている。
なお地球の自転は約25800年周期の歳差運動(失速したコマのような首振り運動)をしている。赤緯と赤経は地軸に対する相対的な位置のため、天の北極/南極も1年で約50秒(緯度経度の1度=60分=3600秒)移動する。つまり千年単位の時間で見ると北極星や南極星に相当する星は移り変わる。
星野写真と星景写真
もともとは星野写真は赤道儀によるガイド撮影、星景写真は経緯台による固定撮影を意味していたが、デジカメ普及によるガイド撮影の短時間化などもあって、星雲や星団などの部分的な撮影を星野写真、地上の風景も含めた広範囲の撮影を星景写真というニュアンスに変わりつつある。星雲や星団は概して恒星よりも暗いのでコンポジットなどの後処理も重要になってくるため、撮影精度や加工技術の高さを求められるのが星野写真、撮影センスの高さを求められるのが星景写真、という見方もできる。
相反則不軌
銀塩フィルムで長時間撮影を行うと照度×時間=露出量の規則が成り立たなくなる。具体的にはシャッター開放時間に対して感光材の化学反応がなかなか進まず、感度が下がるのと同じ結果になる。これが相反則不軌と呼ばれるもので、天体撮影におけるひとつの障壁だった。
水素増感
感光前のフィルムを水素(気体)に晒し30度~40度で10時間前後保管すると感度がアップする現象を利用した増感方法。これにより元の数倍の感度となり、しかも相反則不軌の影響や増感による粒状性の劣化もほとんどないため、天体撮影テクニックとして広く浸透、安定性を増すための前処理として窒素ベーキングも盛んにおこなわれた。
天文台
天文台のように極限の光を捉える大型観測施設ではミリレベルでの誤差も許されないため、振動や沈み込みを起こさないための地盤改良や気温変化による熱膨張、はてはプレート移動まで考慮した極めてシビアな設計と施工の技術や精度が求められる。ある程度の口径を超えると赤道儀では観測装置の支持が物理的に困難なので、たとえばマウナケア天文台群の大型観測設備における懸架方式は経緯台が主流(金に糸目をつけないのであればコンピュータ制御で赤緯と赤経を同時に調整するのはさほど難しくない)。
なお2024年に完成を予定している次世代超大型望遠鏡、TMT(画像は完成予想図)の主鏡は30メートル、望遠鏡全体で2300トンに達する。懸架方法にジャイロのような二重構造(二軸構造)を取っているのが特徴的で、これにより主鏡の大きさに比して観測ドームのサイズをコンパクトに抑えることに成功、主鏡8メートル級のすばる望遠鏡よりもひとまわり大きいだけで済んでいる。

補記

天文雑誌は『天文ガイド』『天界』『天文月報』などがあるが、入門者は『星ナビ(旧スカイウオッチャー)』がおすすめ。発行元であるアストロアーツも宮城騒動の際に『天ガ』などの権威誌に比べてずっと対応に真摯だったのが好感持てたし、すばやく現在の星座の位置を知るのに便利な星座早見の電子盤も、アストロアーツのスマートステラ/iステラがおすすめ。

宮城騒動
天才天文少年としてその界隈では有名人だった宮城(下地)隆史(本名:北畑道雄)による年齢詐称および画像盗用にまつわる騒動。発端は『星ナビ』の表紙を飾った2009年7月22日の皆既日食時のコロナ画像で、本来コンポジット処理であれば生じるはずの差異が見つからなかったことへの疑問から盗用疑惑が持ち上がった。これ以降、過去のコンテストや媒体掲載作品など、長期間に渡る盗用の常態化とその手口が2ちゃん住人によって次々と明るみにされ、さらに未成年を偽り続けていたことや偽名の使用、ブログコメントにおける自作自演まで発覚。この騒ぎは全国紙でも取り上げられ、考古学におけるゴッドハンド事件同様、天体写真史上最悪のパクリ事件として黒歴史化した。
自社刊行誌の表紙に泥を塗られた格好のアストロアーツは、これを天体写真愛好家の信頼を揺るがす大問題として直ちに強い態度で臨むとウェブ及び誌面で事の経緯や本人とのやりとりを公開、盗用元とも積極的にコンタクトを取り盗作画像が掲載されたバックナンバーのうち、元画像の作者と連絡が取れない号を販売停止するなど事態の収拾に注力したが、やはり登用疑惑の強い作品を過去掲載してしまった『天文ガイド』は終始後手にまわり誌面での扱いも小さく、両誌の温度差にネットを中心とした天文ファンから落胆の声が漏れた。なお本人は裁判所の呼び出しに応じず絶賛逃亡中。