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レンズ - Nikon AF-S NIKKOR 800mm F5.6E FL ED VR

定価212万円。最高水準の超望遠レンズ。

Nikon AF-S NIKKOR 800mm F5.6E FL ED VR

コピーは伝統の中に革新が光る、プロフェッショナル愛用の超望遠レンズアマチュアのオレには一生縁がないとダメ出し欲しい欲しくないとか買える買えない関係なく、いろんな点で興味深い。

かつてのニコンはAI Zoom-Nikkor 1200-1700mm F5.6-8P IF-EDなんていう化け物で球場プレスを独り占めするなど、レンズラインナップの豊富さでも報道のニコンの名を欲しいままにしていた(むしろニコンを支え続けてきたのはニッコールレンズといってよい)。ところが1990年代に入りAF化・電子化の波が押し寄せてからはキヤノンにプレスを根こそぎ持っていかれてしまった。以降、永きに渡ってキヤノンの後塵を喫していたのだが、驚異的な高感度画質のD3が登場したことでようやく変化の兆しが見え、室内競技を中心にシェアを盛り返していく。しかし92年から実に20年ものあいだAFの長玉はロクヨンどまりで、長玉必須な現場ではハチゴローを持つキヤノンに水を開けられていた。ニコン党のプレスが本レンズをどれだけ待ち望んでいたのか少しはわかってもらえるだろうか。

満を持しての登場だけに、ナノクリスタルコートやVR機構はもちろんのこと、初の蛍石(フローライト)投入や電磁絞り=完全電子マウントの採用、単焦点にして13群20枚とパワー配置・硝材選びに妥協のないレンズ構成、個別調整された専用テレコンバーターなど現在のニコンが持つ技術を総結集したかのような製品になった。驚くべきはMTF曲線で、「これはもうMTF直線」と誰もが頷くほどグラフの天井にピタリ張り付いている。テレコン装着時ですらほぼ0.9以上と恐らく現在発売されているレンズの中でもっとも優れた製品であろう。212万円という価格に見合うだけのスペックなのは間違いない。重量もヨンニッパとほぼ同じ4.5kgに抑えられている(ロクヨンよりも500g軽い!)。レンズ屋の本気が伝わってくる。

ニコン

ただ、気になる点がひとつ。電磁絞りの採用である。

電磁絞りはボディとの機械的な繋がりを持たない、レンズ内のアクチュエーターによる絞り制御方式。完全電子マウント化で先行したキヤノンであったが、高速連写において絞り駆動が追いつかず、カタログスペックどおりの速度が出るのは開放時のみ、というウィークポイントを抱えていた(秒5コマ程度ではこの症状は発生しないため、高速化を達成したキヤノンだからこそいち早く顕在化した問題でもある)。

参考:デジカメwatch|キヤノン EOS-1D Mark III 怒濤の10枚/秒連写を試す

一般的な自動絞りの場合、ミラー/シャッターに連動して機械的に絞り羽根をピンで動かしている。イメージ的には高速化するほど機械駆動のほうが不利のような気もするが、実際には絞り羽根を動かすためのピンを押すバネの力はかなりものもので、秒10コマ程度ではバネの戻りが慣性に負けてボトルネックになるようなこともない。絞り羽根をレンズ内アクチュエーターで動かしている電磁絞りの場合、設定位置で絞り羽根を正確に止めるのは機械的な動作よりも勝っているものの、高速になればなるほど往復運動によるレスポンスの悪化が無視できなくなってしまう。

ニコンにおける電磁絞りの採用は、シフトレンズであるPC-Eニッコールが最初となった。アオリ撮影で高速連写というのはそう考えられないため、電磁絞りのメリットだけが活きる(レンズが傾くのだから機械的な駆動がそもそもできない)。が、今回のハチゴローはむしろ高速連写中心で使われることのほうが多いだろう。高価なレンズのためレビューもなかなか目にすることがないが、果たしてこの件がどうなっているものか。

また電磁絞りの採用に伴い対応機種が直近のものに限られた。フィルムカメラは全滅。D2桁やD200前後までの機種も対象外となっている。ファームアップで対応できないこともなかろうが、ディスコン機種まで面倒見切れないよ、ということだとしたらちょっと残念。

参考までに、本レンズとキヤノンのハチゴローシグマのハチゴローの比較。

項目ニコンキヤノンシグマ
全長461mm461mm521mm
最大幅160mm163mm156.5mm
重量4590g4,500g4,900g
レンズ構成13群20枚14群18枚9群12枚
最短撮影距離5.9m6m7m
撮影倍率1:6.61:7.11:8.8
価格210万円175万円75万円

シグマはこの値段でがんばってるように映るが、構成レンズの少なさが目立つ。ちなみに同社の300-800mm F5.6は16群18枚で重量は6kg近い。

2013-08-30

新宿ニコンサロンで70-200mmを修理に出したら、ハチゴローが展示してあったのでいろいろ触ってきた。写真はノーリサイズ&ノートリミングだけど霞んじゃってたのでレタッチでレベル調整はしてる。色は度外視で。

参考:オリジナルのRAWファイル(NEF 14MB)

D300に装着すると換算1200m相当、画角はたったの2度しかない。

比較画像として、D300+17mm(換算25mm、画角79度)での一枚。後ろに見える左側のビルが代々木のNTTドコモ代々木ビル、通称docomoタワー。わかりやすいように上のフレームを赤枠で入れてみた。

ニコンサロンのあるエルタワー(28階)との直線距離は1km弱。

なんでもdocomoタワーの高層部のライティングは、「オレンジが雨予報、白が晴れ予報」を意味してるらしいよ。

テレコンも装着できたので、800mmとの画角の違いを。上が未装着、下が装着時(1000mm→換算1500mm、画角1.6度)。

なおすべて手持ちで撮った。というか撮れた。前玉の軽量化のおかげでロクヨンよりもフロントヘビーが改善されている。んまあ、10分足らずの間に空調のよく効いたフロアで汗だくになったけどさ。水平維持つか手持ちで撮り続けるのは無理だってw

でも常連はヨンニッパに倍テレつけて手持ちで撮るんだよ!

それはともかく、これだけのロングショットでもそこそこ被写体をフレームで捉え続けられたのはVRの効き具合が素晴らしいせいでもある(このカットは上の地図でエルタワーからまっすぐ下りた、2つ目の「(株)」の字のあたり)。ギリギリまでフレーミングを粘ってくれるような感じ(限界超えるといきなり変わるけど)。まあさすがにピクセル等倍でディテール甘々だけど、それでもナンバープレートの数字はギリギリ読み取れるんだからすげえw 三脚とリモートコードできっちり撮ったらどれくらい解像するのか興味深い。なお絞り込んでシャッター押しっぱなしにしても電磁絞りの採用による連写速度の低下は微塵もなし、さっすが国産最高クラスのレンズ。

そんなわけで、ちっとも欲しいとは思わないけど、貴重な経験をさせてもらったよ。