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ビデオカメラ - Blackmagic Pocket Cinema Camera

直販価格101,800円。常識を覆す低価格デジタルシネマキャメラ。

Blackmagic Pocket Cinema Camera

競馬場で動画撮ってる人は少なくないのだが、さすがに個人でこいつを持ち込んでる姿は見かけたことがない。

デジカメの動画とシネマキャメラの違いをわかりやすく喩えれば、動画をMPEGで記録するかAVIで記録するかの差・・・つまり時間軸方向の圧縮ロジックを用いずコマ単位での保存を行うのがシネマキャメラとなる。その意味ではMotion-JPEGと似ている。さらにH.264をはじめデジカメ動画の記録はみなYUV420、つまり輝度4画素に対して色差1画素でありこの時点で本来の色情報の3/4が失われているが、シネマキャメラではYUV422、場合によってはYUV444もある。早い話が1コマ1コマをデジカメのRAWで記録するようなもので、Motion-RAWがもっとも妥当な呼び方だろうか。当然、処理すべき情報量はべらぼうに多く機材はめちゃくちゃ高価になるし長時間記録にも不向きだが、コンシューマ向けビデオでは絶対に撮れない色数と広いダイナミックレンジを確保できる。

本機は見た目こそミラーレス一眼そのものだが、1920x1080のフルHDを12bit lossless圧縮のCinemaDNG RAWまたは10bitのApple ProRes 422(HQ)で記録、ダイナミックレンジに有利なLogの収録にも対応と立派なデジシネ機である。センサーは12.48mm×7.02mmのスーパー16サイズ(製造元は調査中)、デジカメだとニコワンのCXフォーマット(13.2mm×8.8mm)に近く画角はライカ判換算で約3倍となる。小型センサーの宿命として広角レンズの設計が困難かつ被写界深度が広いのでさすがに絵作りは限定的だが、重要なのは本格的なシネ機材と同じワークフローを実現できる点であり、映画製作を志す人にとっては非常に心強い存在なのだろう。なお静止画記録はできないようだ。

オレは動画撮影は分野外なのだけれども(タイムラプスはちょっと気になってるけど)、Blackmagicの興味深い点はマウントにマイクロフォーサーズ、さらにバッテリーにニコンのEL-EN20を採用と調達に工夫の跡が見られる点である(ちなみにシネカメに採用されるスチル用マウントはEFマウントが多い)。こうした多種多様なメーカーの技術が混在したプロダクトは本業のデジカメ製品ではないから実現し得たというか、自社商品に影響のないシネマキャメラに対しては技術供与やライセンスのゴーサインも降りやすいのかな、などと。

Blackmagic Design

BMD社はオーストラリアの映像関連企業で、これまでにもスイッチャーやキャプチャユニットなどを一般的なプロ用映像機器の1/10~1/100の価格でリリースしてきた。その集大成ともいえるのが本機で、REDやArriflexなどのプロ用のシネマキャメラが数百万円から数千万円するのに対して十万円というバーゲンプライスどころではない値段が与えた衝撃がどれほどのものかは容易に想像がつく。実際、お披露目となった2013年のNABでは4K機材よりもはるかに注目を浴びたらしい。

ただ、いざ使ってみると本機単体ではどうにもならない、という声が目立つ。手ブレ補正はなくやはりリグを組んで撮影するのが前提で、バッテリーもあっという間になくなるので最低10本は必要、メディアも220MbpsのApple ProRes 422(HQ)で記録するとシーンごとに32GBを用意しないと間に合わないなど、見た目の気軽さとは裏腹になかなか面倒なシロモノのようだ。んま、メーカーとしては「お膳立てはしてやったぜ、あとはお前ら次第だ」ってところなのだろう。

参考:2013年10月2日 of GAIPRO.NEWS

2014 NABでもBlackmagic Studio Camera&URSAといった意欲的なプロダクトを発表。

例によってコストパフォーマンスは相当高そうだけど、理屈抜きにかっこいいと思う。使い勝手はどうか知らんが。

参考:Shuffle by COMMERCIAL PHOTO|話題のBlackmagic Pocket Cinema Cameraを使ってみた

一眼の知識と経験がそれなりにあれば違いを理解しやすい内容で、デジシネ初心者(誰)におすすめの良記事。さすがはコマーシャルフォトといったところか。

そんなわけで、センサーはソニー、レンズとボディ設計はニコン、AFまわりと読み出しはキヤノン、絵作りはフジ、防塵防滴処理とアンチダストはオリンパス、量産化はシグマといった具合に国内メーカーのいいとこどりができたら面白いだろうなあ、と思った次第。出来上がった製品はNihon 1、通称ニホワンとして世界がひれ伏すのだろう。

脚注

YUV
色空間のフォーマットのひとつ。ソニーのベータカムで採用され、以来映像信号の標準的な伝達方法として定着した。骨子となっているのは「人間の目は明るさの変化に敏感で、色の変化に鈍感」という特性である。映像信号を輝度(Y)及び青と赤の色差(U=B-Y、V=R-Y)の3つにわけ、このうち色差信号を間引くことで情報量を圧縮する。圧縮は4ピクセルの原画像に対するサンプリング比として4:4:4(無圧縮)、4:2:2、4:2:0といった数値で表される。TV信号やDVDなど一般的な映像では4:2:0、業務撮影現場では4:2:2が用いられている。
参考:YUVフォーマット及び YUVとRGBの変換
ちなみに人間の目の感度は緑がもっとも高い=輝度の変化に敏感なのも緑。つまりはセンサーのベイヤー配列と理屈は同じようなもの。
CinemaDNG
アドビシステムズが提唱する汎用デジタルシネマフォーマット。スチル・ビデオ問わずカメラメーカーネイティブのRAWフォーマットは記録情報のオリジナルに対する忠実度こそ優れているものの、新機種のたびにコーデックが必要な汎用性の低さは前時代的ですらある。これを解決すべく登場したのがCinemaDNGだが、2014年現在まだ積極的に採用されているとはいい難い状況が続いている。
なおCinemaDNGはスチルカメラ向けの汎用RAWフォーマットであるDNGをベースにしたものがだ、DNGを採用しているカメラメーカーはリコー、カシオ、ペンタックス、ライカとこれまた少数に留まっている。個人的には、利用者の限られる・・・ひいては恩恵を受ける人の限られるDNGよりも事実上の標準形式でありながら8bitという苦しい制約のJPEGをとっととJPEG XRなりで置き換えてほしいところ。
標準フォーマットの置き換えなんてものすごいめんどくさい作業になるわけで、オレがWebPに猛反対するのも次世代規格を謳うのに8bit記録なんて冗談も休み休みいえってのが最大の理由。W3Cも事実上H.264でうまくいってた動画より画像の後継規格に本腰入れろっての。
Log
動画撮影におけるLog記録とは、映像信号の濃淡をネガフィルムの露光カーブと同じ対数カーブとして記録することで広いダイナミックレンジに対応した方式をさす。コダックのデジタル・インターミディエイトの一環Cineonで過去のフィルム素材のデジタル化の際にネガ濃度0.002を基調とし10bit 1024階調で記録したことにはじまり、以降Cineon Image File FormatとしてLog記録がシネ現場で広く普及した。
リグ
2本のパイプを中心としたユニットベースでカメラを載せる懸架システムのひとつ。喩えるなら神輿。マイクや外部モニタ、マットボックス(増設フード)などの設置ベースとして機能するほか、スタビライザーとしての役目も果たし、特に移動しながら被写体を追いかけるような撮影や長時間の手持ち撮影で効力を発揮する。
手持ちでの利用が想定されているが撮影状況によっては三脚や一脚を併用するものもあり、安定性の向上やスムースな構図変化、ブレ防止のため二軸クランプ、レールマウント、油圧機構、ショルダーアタッチメント、バランスウェイト、フォローフォーカスなど様々な工夫がされている。手振れ補正があればリグは不要などという単純なシロモノでもない。
リグの例
参考:あなたのデジカメをシネマスタイルのビッグなカメラにする方法
リグを組むと一気にそれっぽい機材に変身するが、残念ながらオレのD300には動画撮影機能がない。
フォローフォーカス
ピントリングにギアをかますことで直接鏡胴に触れずにピント合わせを行う仕組み。さらにピント合わせは専門のスタッフが行うことで、ブレのないスムースなフォーカシングを実現する。映画撮影などではごくありふれた手法。なお画面でピントを直接視認するのが困難なためピントの移動量はあらかじめマーキングしておくのが一般的だが、測距点を拡大するピーキング機能が浸透したおかげで外部モニタでピンの山を拾うスタイルも広がりつつあるようだ。また最近はモーター駆動の電動式も見かける(レンズ組み込みのパワーズーム/パワーフォーカスとは別な)。
フォローフォーカスの例
レンズ右の円形パーツがフォローフォーカス。白い部分に移動量をマークしておく。撮影目的にもよるが、動画でのオートフォーカスは映像の不自然さとなることが多いためピント合わせはマニュアルが基本である。フォローフォーカスもフォーカス速度が演出に影響する動画ならではの発想といえよう。